FOG
札幌を歩く

札幌は碁盤で、碁盤はきれいに埋まる

FOGは、歩くまで世界地図を隠しておきます。札幌は日本でいちばん整然と晴らせる街で、難しいのは五か月続く雪だけです。

定規で引かれた、日本では例外的な街

札幌は例外です。1869年に南北の碁盤としてゼロから設計されていて、住所が名前ではなく座標になっています。北1西3は、テレビ塔の近くにある原点から北へ一区画、西へ三区画という意味です。それが腑に落ちると迷いようがなくなり、どれだけ歩いたかも確認せずに分かります。

京都の中世的な即興や東京の積み重なった広がりのあとで札幌を歩くと、いい意味で事務的に感じます。街区は規則正しく、見通しは長く、道路は冬じゅう雪を積み上げても通れるだけの幅があります。

大通、アーケード、そして地下の問題

大通公園が背骨です。碁盤の真ん中を東西に約1.5キロ伸びる緑の帯で、東の端にテレビ塔が立っています。北側は駅の一帯、南側は七区画続くアーケードの狸小路で、その先がすすきのです。

もう一つの街が地下にもあります。札幌駅と大通を結ぶ520メートルの地下歩行空間、通称チカホと、ポールタウンやオーロラタウンのアーケードが網になっていて、二月に人が実際に移動しているのはそちらです。暖かくて明るくて、完全に屋根の下にあります。それは快適さ以上の意味を持ちます。

碁盤を横切る午後

札幌駅から南へ大通まで歩き、公園を東へ進んでテレビ塔まで。狸小路を南へ抜けてすすきのに出て、池と豊平館のある中島公園まで足を伸ばします。北へ折り返して西へ向かい、円山公園と北海道神宮へ。ここで碁盤が唐突に終わって森が始まります。約九キロ、全部が平らで、街区がそろっているので地図にはやけに整った格子が残ります。車を避けてもう数キロ足すなら、豊平川の河川敷が使えます。

五メートルの雪

ここでは冬がすべてです。札幌は一冬に累計五メートルほどの雪が降り、大都市としては世界でも有数の豪雪地です。十二月から三月まで歩道は踏み固められた氷になり、歩く速さはおよそ半分になって、長い道のりは現実的な計画ではなくなります。ちゃんとした靴を履いて歩く人はいますが、遠くへも速くも歩けません。

夏がごほうびです。六月から九月の北海道は涼しく乾いて晴れていて、ほかの土地が耐えがたい時期に、日本でいちばん快適に歩けます。札幌を埋めるならその季節で、期間もたっぷりあります。

冬の道筋を考える前に、ひとつ知っておくといいことがあります。地下歩行空間もアーケードも屋根の下なので、ビルの下では位置がうまく取れません。チカホとポールタウンで一時間過ごすと、いちばん距離を稼いだところが地図から抜け落ちます。その通りを晴らしたいなら、夏に地上を歩いてください。地下は、地図を埋める道ではなく帰る道と考えるのがちょうどいいです。

よく聞かれること

地下街を歩いた分が出ないのはなぜですか

完全に屋根の下で、ビルの下では位置がはっきり取れないからです。同じ通りを地上で歩けば晴れます。

札幌を埋めるのに良い時期は

六月から九月です。十二月から三月は雪が深く、長い散歩は現実的ではありません。

碁盤だと埋めやすいですか

分かりやすくなります。街区がそろっているので格子状に歩けて、晴れた場所と残った場所の差が一目で分かります。

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