東京の霧を歩いて剥がす
東京は、歩くことにいちばん報いてくれて、終わらせようとするといちばん報われない街です。地図は最初、全部が霧の中です。自分の足で通った道だけが、ずっと晴れたまま残ります。

FOGで見た東京。渋谷から北へ、裏道を抜けて原宿まで歩いた道筋の霧が晴れています。
道に名前がない街
東京は碁盤の目でもなければ、ヨーロッパの旧市街のような作りでもありません。ほとんどの道には名前がなく、住所は区と町と街区の番号でできているので、みんなが頭の中に持っている地図は、交差点ではなく駅でできています。山手線が枠で、その内側と外側に街がぶら下がっています。渋谷、新宿、池袋、上野、東京、品川。
大きな通りの下には、もう一つの街があります。配達の自転車がやっと通るくらいの路地に、家と自動販売機と小さな店が並ぶ層です。歩く距離が実際にあるのはそちらです。地形も効いてきます。山手線の西側は起伏があって、小さな谷と階段で刻まれています。隅田川に向かう東の下町は、平らな川沿いの土地です。
一本の線がきれいに引ける午後
定番には定番の理由があります。渋谷のスクランブルから北へ、大通りの裏を通る旧河道のキャットストリートを原宿まで。明治神宮に入って代々木公園へ抜け、表参道を下りて、そこから脇の路地に潜ります。二、三時間で、西側の濃い一角がまとめて晴れます。
もう一つの東京を歩くなら、浅草から隅田川を橋づたいに南へ下るか、道がいまも昔の線のまま曲がっている谷中で午後をつぶすかです。皇居の堀を一周すると約五キロで、地図の真ん中に閉じた輪がひとつ残ります。理屈以上に、これがきれいに見えます。
東京は終わりません
はっきり書いておきます。市街地はどの方向にも数十キロ続き、その中の道路網は地球でも有数の密度です。東京を晴らしきる人はいません。実際に起きるのは、よく使う駅のまわりに染みのような塊がいくつかできて、何か月かかけてその塊どうしが触れ合い、ひとつの形になっていくことです。
そこがこの街での面白さです。街の割合は小刻みにしか動かず、その一つ一つに歩いた分の裏づけがあります。数字を動かすのは幹線ではなく路地なので、いちばん非効率に感じる散歩が、たいていいちばん効いています。川と湾が晴れた範囲にはっきりした縁を作り、平らな東側は、起伏のある西側より速く埋まります。同じ時間でも進める距離が違うからです。
実際のところ
東京の夏は暑くて湿気が重く、七月から九月にかけては歩くのがつらくなります。秋がごほうびです。冬は寒くても乾いて晴れるので、距離を稼ぐには申し分ありません。六月の梅雨は傘があれば歩けます。みんな持っているので、問題になりません。
新宿、渋谷、丸の内のビルの谷間では位置が少し揺れることがあります。地下通路が延々と続くので、地図に残らないまま数百メートル進んでしまうこともあります。軌跡を大事にするなら、地上を歩いてください。バックグラウンド探索を入れておけば、アプリを閉じて画面を消したままでも地図は埋まり続けます。
買い切りの FOG Unlimited を入れると、Google タイムラインやGPXの取り込みで、これまでの東京の歩きもそのまま地図に乗ります。月額はありません。
よく聞かれること
地下を歩いた分は数えられますか
たいていは数えられません。長い地下通路では位置が安定しないので、その区間は霧が残ることがあります。
昔の東京の歩きも取り込めますか
取り込めます。Google タイムラインの書き出しとGPXファイルに対応していて、買い切りの FOG Unlimited に含まれます。
東京の街の情報が入っていますか
入っていません。世界に7,342ある名所のうち、自分が実際に立った場所を数えるだけです。国は241、地域は3,390あります。街ごとの案内機能はありません。
位置情報はどこかに送られますか
送られません。アカウントもクラウドも解析も広告もありません。地図は端末に残り、いつでも書き出せます。
まっ暗な地図から始めます。
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